第44回丹波篠山ABCマラソンは㈱アールビーズが主催する「日本全国お城マラソンを走ろう (お城マラソン )!」に参加しています。
そこで、篠山城(現在は城跡)についてご紹介いたします。

 

■築城の経緯

〇選地

篠山城は、関ヶ原の戦い勝利した徳川家康が、西日本に残る豊臣諸大名の勢力を抑えるために、京から山陰に通じる交通の要衝である篠山の地に堅固な城が必要となったことから、これまでの八上城を廃し、新たに築いた城です。

篠山城の築城にあたり、実子である松平康重に適地を探させ、飛ノ山、王地山、笹山の3つの独立丘陵を候補地とし、地形等から笹山に城を築くことを決めました。
笹山は、西の飛ノ山、東の王地山に挟まれ、南には篠山川が流れ、2つの丘陵と相まって城の護りを強固なものにしています。

 

〇築城

慶長14年(1609)、天下普請の城として、徳川家康が、十五ヶ国、二十の大名に夫役を命じ、縄張奉行には築城の名手と謳われる藤堂高虎、普請奉行には池田輝政らが指揮を執り、大坂城を包囲し、豊臣家ゆかりの諸大名を抑えるため、総勢8万人の労力により僅か9ヶ月の期間で築城されました。

篠山城については、天下人のための築城(織田信長の安土城、豊臣秀吉の大坂城・聚楽第・伏見城、徳川家康の伏見城・二条城・駿府城など)とは異なり、彦根城や名古屋城と同様に、城主には別途、腹心の大名が任命され、以後1大名の城として維持された典型的な城です。

笹山が小山ながら大半が岩盤のため、人力で岩盤を切り崩し、整形しなければならず困難を極めたそうです。

『聞見集』(『大日本史料』所収)には、本多佐渡守(正信)から、篠山城の作事(建築工事)について、とにかく実戦的な防御力強化に徹すべきこと、天守も不要などと幕府の意向を強く指示されたことが記されています。その後、慶長19年(1614)大坂冬の陣、慶長20年(1615)大坂夏の陣の終結と豊臣家の滅亡によって、篠山城に課されていた特別な役割も終わり、以後の篠山城には引き続き徳川譜代大名の重鎮が配され、将軍の城として再築された大坂城を守護する戦略拠点の役割を課されました。

 

 

■縄張り

篠山城は、防御に優れた笹山と呼ばれる独立丘陵に築かれた平山城である。郭の配置は、梯郭式(段下がりに郭を重ねていく縄張り)と輪郭式(郭を同心円状に配する縄張り)を併用したもので、石垣に囲まれた天守台、本丸、御殿などが配置された二の丸を中心と、幅広い犬走りと内堀、さらに家老屋敷、馬場、米蔵などが配置された三の丸、外堀の順に方形に配置されています。

北・東・南の3箇所は全て角馬出しが造られ厳重な備えで、北の大手馬出は現存しないが、南馬出と東馬出は完存し、全国的にも類を見ない貴重な遺構です。

 

 

■石垣

近江国穴太衆(筑後・三河・駿河)の指導により築かれたものです。石垣工事には膨大な量の石材が必要であり、石材は築城地の笹山の岩盤を切り崩して用いた他、築城候補地であった王地山、郡内の鷲尾・宮田・追入・当野・油井などで調達されました。

石材の採掘には、石にのみで穴をあけ、くさびを打ち込んで割り、巨石は修羅(石材を載せる運搬具)やコロやテコなどを用い、太い綱や鎖を取り付け、牛を使って曳いていったと言われています。

当野には普請場まで搬出されなかった石材が数多く残っており、篠山城築城における石場の様子を物語る資料であることから、昭和35年(1960)に、『篠山城築城の集石場』として、市指定史跡に指定されています。

石垣は、地山を1.5mほど掘り込んだ上に根石を据え積み上げています。築石の加工の程度による分類では、「野面積み」と「割石積み」がほとんどで、積み方の分類としては、「乱積み」と「布積み崩し」が見られます。
石材の積み上げ方は、長さ1mほどの胴長の石を深くおしこみ、石材の背面には栗石をつめ、石材間の表面の隙間には間詰め石を充填し、石垣の安定化と排水性を確保しています。
また隅角部は算木積みです。なお、江戸時代には何度も石垣が傷んだり崩れたりし、幕府に修理伺いを出し度々修理を行っていたことがわかります。

石垣の特徴として、石材の表面に見られる符号が多いことがあげらます。
符号の数は大坂城、名古屋城に次ぐといわれ、城の規模に比べてその種類や数が多い。築城以来400余年の歳月の中で、今なお明瞭に残っているこれらの符号は、築城当時、石の採掘や運搬、あるいは構築に従事した技術者集団の符号か、大名の家紋や馬印か、工事担当者の組印かなどの様々な説があります。
埋門を出た所の西側の隅石に刻まれた「三左の内(さんざのうち)」と読める符号は、普請総奉行である池田三左衛門輝政の印で、その分担区域を表したものではないかと言われています。
その他、種類にして150種類以上、数にして1,000以上の符号が残るとされています。

篠山城について(其の2)