■堀

篠山城の堀には外堀、内堀、馬出堀があり、全てが水堀で、大手馬出堀は薬研堀で、他は箱堀であったと伝えられています。

・外堀

外堀は三の丸と城下町との間に設けられた堀で、三の丸を方形状に囲んでいます。馬出から堀を横切って城内へ入る通路は水位調整ができる堰としての機能を持つ土橋とし、水を溜めるようにしています。外堀の幅は約45m、一辺が約400mで、城郭の規模に比して外堀が広大なことも、篠山城の大きな特色の一つです。南外堀は築城以前に「白鯰の坪」と称した古沼を掘り広げたものですが、東外堀、北外堀、西外堀はいずれも築城の際に新しく掘られたものです。

・内堀

内堀は三の丸と二の丸・本丸の間に設けられた堀で、二の丸・本丸の石垣を取り囲んでおり、石垣との間には犬走りと呼ばれる幅広い平坦地があります。
廃城後は、北内堀東部はごみ捨て場として徐々に埋められ、南内堀は学校の運動場とするため、また戦後は市民グラウンドとするために、南部に残っていた土塁を壊して埋められ、平成14年(2002)までは、西内堀と東内堀が残っているのみでした。
平成14年からは、内堀の旧状を把握するための確認調査を実施し、その成果をもとに内堀復元整備事業に着手しました。

・馬出

馬出は、虎口空間を突出させ、城への出入りを複雑にし、出入口を守るための攻守に優れた施設で、篠山城では、大手(北)・東・南の3箇所全ての虎口に方形の角馬出を設けていました。
3箇所のうち、大手馬出は大正12年(1923)に埋められたものの、2箇所の馬出が残存する城跡は、全国的にも類例がなく大変貴重な遺構です。

大手馬出の規模は、東西約60m、南北約32mで、東と西に幅15mの堀、北に幅18mの堀が巡り、外堤は約4m幅の側道・土塁状であったと推測されています。
現在は土塁の一部が残り、整備された広場の一角に保存されています。

南馬出は土塁と堀が完全に残っており、土塁馬出の遺構としては貴重なものとなっています。
往時は、南馬出の中に焔硝倉があり、南馬出堀の南側には薪炭倉がありました。

東馬出は堀と石垣が残り、現在は公園として整備されています。

 

 

■三の丸土塁

三の丸土塁は、堀に接する水際を石垣として、その上に高く土を盛り上げ、その上に塀を連ねて曲輪をとり囲み、四隅には二層、三層の隅櫓を設けていました。
三の丸の土塁と塀は、篠山城の防御の主線でしたが、明治から昭和にかけてほとんどが取り払われ、三の丸南西隅に土塁の一部が残っています。

 

 

■大書院

1873(明治6)年の廃城令によって篠山城の大半が取り壊されましたが、保存を願う人々の努力により城建物の中でただ一つ残されました。
その後小学校、女学校また公会堂等に利用されましたが、惜しいことに1944(昭和19)年に火災により焼失しました。
2000(平成12)年には木造で大書院が城内に復元され、城下に残る侍屋敷や妻入りの町屋とともに、往時の風情をしのぶことができます。
城跡での御殿の復元は珍しく、規模は京都二条城の二の丸御殿遠侍に匹敵しています。

 

 

篠山城は財団法人日本城郭協会が選定した「日本100名城」にも選ばれています。

 

 

■城下町

篠山の城下町は、篠山城跡を核として武家町や商家町の町割を残すなど、近世の城下町の基本的構造をよく残すとともに、武家屋敷や近世から近代にかけて建てられた町家、寺院など、城下町の要素を全体としてよく残しています。
こうした城下町の町並みが全国的にも価値が高いと評価され、平成16(2004)年12月10日に国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されました。

城下町における重伝建地区の範囲は、国指定史跡篠山城跡とその周囲に町割された旧武家町と旧商家町からなり、東西約1,500m、南北約600 m、面積約40.2 ヘクタールに及びます。

篠山城跡の周囲に広がる西新町と南新町、東新町は旧武家町で、外堀沿いに長屋門が数棟残されています。西新町の御徒士町通りには、間口平均8間、奥行25 間という江戸時代以来の敷地割がよく残り、通りに沿って土塀と棟門が配置され、二間ほど後退させて茅葺、入母屋造、平屋建の主屋を建てています。また主屋の裏側には土蔵や竹藪が配され、武家屋敷のたたずまいを今に伝えています。

城下町の南東に位置する小川町と河原町は旧商家町で、東西約 700 mの通りに沿って江戸時代末期から昭和戦前期の町家や土蔵が建ち並び、城下町の歴史的景観をよく留めています。間口が平均3間、奥行 20 ~ 60 間という江戸時代以来の敷地割が多く、間口が狭く奥行が深いことが特徴です。主屋は妻入、中二階建、桟瓦葺が主で、平入も少ないながら存在します。
外壁は大壁造の灰中塗仕上げもしくは白漆喰仕上げ、窓は中二階のものは出格子窓か虫籠窓が一般的で、かつての表構えは、大戸と格子、 蔀戸を基調としていました。

令和5年4月に放送された「林修の今でしょ豪華版、GWに行くべき全国の城下町ベスト15」では全国2位に選ばれ、河原町のまちなみ、歴史的建造物での宿泊、水琴窟、郷土料理等魅力が盛りだくさんです。

 

篠山城について(其の1)